日本青年館ホールは1列、2列、3列・・・と採番せず、A列、B列、C列・・・ですので2階A列は2階席の1番前の席にあたります。通路階段の下端は転落防止のバーが立っていますが、開演5分前には係員が畳みに来るので視界の邪魔にはなりません。
『心中・恋の大和路』の東京公演は、初日から公演中止が続き、当初の千秋楽公演が初日公演となるイレギュラー、追加公演の午後の部が千秋楽となる事態でした。
見せ場のひとつ、亀屋忠兵衛(和希そら)の「封印切」は緊張感が場をつつみ、分かっていてもドキドキします、大成功だったと思います。
「新口村」、履物の鼻緒を切らす孫右衛門(汝鳥伶)と梅川(夢白あや)のシーン、梅川は決して悪い女ではなく、性根の良い優しい女であると分からせる場でもあるのですが、夢白あやさんが演じると随分早い段階から梅川の清らかさ、優しさは観客に伝わってきます。
丹波屋八右衛門(凪七瑠海)で舞台全体がよくおさまり、演目の完成度を上げていると感じました。
かもん太夫(妃華ゆきの)が町女の恰好をして、みなに祝福されながら新町の大門を出ていくシーン、舞台の端でそれを隠れて見送る亀屋忠兵衛(和希そら)と梅川(夢白あや)には、ほろりと来ます。
第十二場の雪路で二人が息絶えるところは、舞台は白い布だけの美術、二人の演技だけが全てというなか、本当に哀しく、美しいシーンをつくりあげていました。
幕後の挨拶が終わり、二人のおじぎも済み、幕が完全に降りてしまった後、舞台の袖から和希そらさんが、もう一度一人出て来て、想いを観客に伝えてくださったのはうれしかったです、ありがとうございました。
和物の雪組と言われるだけに、近松の主役はプレッシャーもあったと思いますが、堂々の千秋楽であったと思います。