チケットぴあのデザインですが、梅田芸術劇場ネット会員(年会費2000円の有料会員)の会員向け先行抽選で購入しました。
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティの16列目の席は、前方が大きな通路となっていますので視界が良いです。ねらって取ることはできませんので、抽選でたまたま当たれば良かった程度で。
宝塚大劇場や東京宝塚劇場の本公演の演目は、「3時間お客様を夢の世界へお連れする♪」に尽きますが、小劇場の公演はそうではないことが前回の『冬霞の巴里』(harugotatsuのドラマシティ初観劇の演目)でよく分かりました。
構えて観劇にのぞみましたので、思ったほど重苦しくはなく主人公のニコラス・デ・ロサス(暁千星)に共感するところは多かったです。
静かだけれども熱い正義感を秘め、ムショ帰りだけど彼が善人であることが伝わります。
ニヒルなブルーかと思ったら実はレッドというパターンです。
軍事政権が倒れ民主制となった1900年代半ばのアルゼンチン、それでも不満なリカルド(風間柚乃)は現実の人間の多くを投影していると思います。
むきだしのセルフィッシュな考え方をするリカルドは実は舞台の上で最も人間臭い登場人物かも知れません。
ただ、願わくは妹のリリアナ(花妃舞音)とブエノスアイレスの片隅で小商いをしながらひっそり兄妹睦まじく暮らしていく人生もあったろうにと思います。
どんなひどいめに合うか分からないのに、代金のカタとして武器商人に引き渡されるリリアナが不憫です。
舞台のほとんどはタンゴ酒場、その雰囲気をしっかりつくっているのは、タンゴ酒場で働くメルセデス(夏月都)と酒場歌手フローラ(晴音アキ)、自分の知らない世界を見せてもらったように感じました。
振り返ってみると物語の展開は、町のチンピラでフローラの息子マルセーロ(彩海せら)が基点、無茶苦茶な青年です。
マルセーロの何かが足りないと、もがいている姿、虚勢をはる姿、突っ走る姿、うなだれる姿の全てが胸に残ります。チンピラなんだけど・・・苦手なタイプなのだけど・・・。
刑事ビセンテ(礼華はる)をずっと「嫌なやつ!嫌な奴!」と思って観ていましたが、存外ちゃんと見ている人で良かったです、本当にハラハラさせられました。