東京宝塚劇場・月組公演『グレート・ギャツビー』、何度目かの観劇になりますが何度みても良い作品でした。
物語の軸となるジェイ・ギャツビー(月城かなと)、デイジー・ブキャナン(海乃美月)、トム・ブキャナン(鳳月杏)、ニック・キャラウェイ(風間柚乃)が名演ぞろいなので物語にすっと入っていけます。
「女の子は綺麗なおバカさんがいい」と・・・おバカさんは分かるけど自分で”綺麗な”と言い切るデイジーは相応の綺麗な女優さんが演じないといけません。美貌の海乃美月さんが言うのであれば許せます。
そして、アメリカの貴族というトム・ブキャナン、鳳月杏さんのノーブル感がすごい!
海乃美月さんと鳳月杏さんがいて、物語は説得力のあるお話になってるのだと思います。
マートル・ウィルソン(天紫珠李)、キャサリン(白河りり)の姉妹は見どころのひとつ、マートルはとにかく動く、駆け寄り、駆け上がり、追いかけ、そして、飛び出す、舞台をダイナミックに魅せる。男まさりな感もあるけど、肉感的で妖艶、舞台で注目を集める存在です。
キャサリンは姉に比べればおとなしい印象、「姉はお義兄さんを本当に愛していた」というセリフに観客は驚くのですが、あまりに真実の叫びに聞こえるので、マートルには一分の愛情が夫ジョージ・ウィルソン(光月るう)に確かに残っていたのかなぁと感じます。
外出が多いマートルですが、方便の嘘を言い、繕おうとするし、食事の支度はちゃんとするし、不思議とマートルに同情してしまいます。
白河りりさん、本公演では妹のキャサリンを新人公演では姉のマートルを演じていますので、この姉妹を誰よりも深く理解している方です。
もし、この夫婦、姉妹が3人でカリフォルニアに移ったなら幸せな暮らしがあったのでは?と想像します。
最後の墓地のシーン、車で横付けし降りてきたデイジーは白いバラ一輪を、供えるというより放り投げます。これは生前、ギャツビーの白いバラの花束から一輪だけ抜いてデイジーが受け取るシーンがあり、その続きかと思います。
ギャツビーからもらった白いバラ一輪を返しに行ったのだと。
いよいよ千秋楽、無事に開催され卒業生が東京宝塚劇場でも大階段を降りてくることができますようにと願っています。