宝塚歌劇団・雪組公演『蒼穹の昴』の千秋楽公演を映画館で観劇しました。
チケットぴあの抽選販売で購入したチケットです。
ライブ中継する映画館のロビーには案内の看板やポスターは無く、チケットのもぎりを通過してはじめてポスターの掲示が1枚だけありました。
あまり映画館は人気がないのかなぁ、と思っていたら・・・座席はほぼ満席、一般販売の前に抽選であらかじめ押さえておいて良かった!
映画館の大きなスクリーンで観ると劇場にいるかのような錯覚を覚えるほど臨場感がありました。
『蒼穹の昴』、作品として成功の鍵の一つは西太后に男役の一樹千尋さんを配役したことです。
迫力、凄み、存在感がある西太后、男でも太刀打ちできない巨星西太后がゐます。
西太后が巨大な存在でなければ、相対する改革派のストーリーも軽くなってしまいます。
そんな西太后ですが隠居後に李春児リィチュンル(朝美絢)語るむかし話に胸が痛みます。
抜群にカッコいいのは、黒牡丹ヘイムータン(眞ノ宮るい)、その存在は西太后のセリフで初め観客は耳にし、どんな踊り手だろう?と思っていると登場した黒牡丹は病でボロボロ、それでも天覧「挑滑車(ちょうかっしゃ)」を踊り切り息絶える、カッコ良すぎます!
そしてエンディング、エトワール(千風カレン)の歌声に心洗われます、宝塚の娘役らしい清らかな声は本当に『蒼穹の昴』のフィナーレに相応しい。徳齢のお役では梁文秀リァンウェンシウ(彩風咲奈)に色目を使っていて好かん!と思いましたが、エトワールを聴いて毎回機嫌を直します。
今日の千秋楽で、梁文秀、李玲玲リィリンリン(朝月希和)、李春児、譚嗣同タンストン(諏訪さき)
、順桂シュンコイ(和希そら)ともお別れです。
安徳海アンドーハイ(天月翼)、黒牡丹、白太太パイタイタイ(京三紗)ともお別れです。
もはや、悪役3人、栄禄(悠真倫)、李蓮英(透真かずき)、袁世凱(真那春人)と会えなくなることでさえ名残惜しく、泪で舞台がにじみます。
栄禄の言い分をもっと聞きたかったし、李蓮英が宦官になろうと決心したときには彼なりの物語があったであろうと思う。
何度聞いても、よるべのない李玲玲の「ちいさな願い」に切なくなる、伴奏とのタイミングがいつも絶妙。そして、7歳頃から20歳頃まで演じきった朝月希和さんはさすがだと思う。
もともと、これがトップ娘役のお役!?と思う役が多かったところ、最後のお役は乞食のような粗末な衣装、それゆえ内面から輝くものが表現できていたと感じます。
何度も何度もあったカーテンコールを泣かずにこらえていたのに、最後のカーテンコールは緞帳前に彩風咲奈さんと朝月希和さんのお二人だけ、ごあいさつの時・・・とうとう泣いてしまわれました。
宝塚歌劇団の歴史の中で、娘役トップの役割や可能性をぐっと広げたジェンヌさんだと思います。